相続税対策と生命保険は非常に相性がいいです。
生命保険を活用して相続財産の評価額を下げることが出来れば、相続税を節税することができます。
不動産投資による相続税対策も節税効果は高いですが、不動産による対策の場合は家賃下落リスク、空室リスク等の価格変動リスクや賃貸経営に係る事務費用がかかるため、手軽さという面で生命保険は取組みやすいといえます。生命保険は、保険契約により将来もらえるお金が確定するので、元本(保険料)の既存リスクが低く確実性が高いのが特徴です。
以上のことから、生命保険は相続税対策の定番です。将来相続税がかかる可能性のある方は生命保険の活用を是非ご検討してください。
相続財産を圧縮し相続税を節税することができます。
死亡保険受取人の指定により争族(家族間の争い)を防止。
生命保険(死亡保険金)で納税資金を準備。
相続税対策(生前対策)の定番としては、①被相続人から相続人等に金銭を贈与していく暦年贈与が最も多いですが、暦年贈与は被相続人と相続人が贈与についてお互い話し合った上で贈与契約を締結して実行していかなくてはなりません。
しかし、将来の相続税の話題はデリケートな側面を含んでいるため、なかなか家族間で相続税対策の話し合いができず、具体的な対策に取組めていない家庭が多いのが現実です。
被相続人の容態が悪化してからや平均寿命を超えた年齢になってから生前贈与をしようとしても、相続時から3年前までの相続人に対する生前贈与は相続財産に加算されてしまうため、手遅れとなってしまいます。
また、アパート経営等の不動産投資も相続税対策の定番ですが、供給過剰な昨今ではよほどいい立地でないと将来の家賃低下・入居率低下リスクが重くのし掛かるため、気軽には取組めません。
しかし、数ある相続税対策の中でも比較的取組みやすくかつ相続税の節税効果が高いのが生命保険の活用なのです。
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません。
生前に契約者(保険料負担者)=被相続人、非保険者=被相続人、受取人=相続人の形態で一時払い終身保険に非課税限度額まで入ることにより、相続財産を圧縮することが出来ます。
例)相続人が3人のケースで1,500万円一時払い終身保険に加入した場合
よって、仮に相続税率が30%であれば、1,500万円×30%で450万円も節税できることになります。
この生命保険の非課税枠についても活用されていない方が非常に多いのが現実です。
また、被相続人が高齢になっていると、今から保険に入るのは無理と思い込まれていることがありますが、保険会社によっては、90歳まで入ることが出来る一時払い終身保険もあります。また、過去に病気や入院歴があっても現在入院されていなければ保険に入ることも可能です。
この生命保険の非課税制度は上記の例でいえば、銀行に預けている1,500万円を生命保険に1,500万円移すだけで450万円も節税することができる即効性の高い節税方法です。
また、相続人の同意を取ることなく被相続人の意思のみで保険に加入することができるのも特徴の一つです。
契約者(保険料負担者)を被相続人、被保険者を相続人という生命保険に加入した場合、相続発生時の相続財産の評価額は解約返戻金相当額で評価することになります。そのため、相続時の解約返戻金を低く設定している保険に入っていれば、相続財産を圧縮することが可能となります。
保険料の払込期間中は解約返戻金が通常の解約返戻金に比べて低く設定されている商品(低解約型)があります。解約返戻金が低く設定されている分、保険料は割安となっていることが一般です。
払込期間中、すなわち解約返戻金が低い時点で相続が発生すると、相続財産は解約返戻金で評価するため、相続財産を圧縮することができ相続税を節税することができます。
相続時に保険は解約せずにそのまま継続し、解約返戻金が高くなった時点で当該保険を解約すれば、相続税は節税しながら払い込んだ保険料を回収することができます。
そして解約返戻金が100%近くまで高くなる6年目に解約すれば、支払った保険料もほぼ全額返ってくることになり、資金を減らすことなく相続税を節税することができます。
【低解約返戻金型保険の商品例】
これらの保険を活用することにより、相続財産を圧縮し相続税を節税することができますが、節税額を大きくするには一般的に3年から15年の期間が必要になります。よって、相続が発生する直前に保険に入っても期待通りの節税効果えることは難しいため、余裕をもって取組むことが求めれられます。
ただし、商品によってメリット・デメリットがあります。保険を使った相続税対策をご検討の方はお気軽にご相談ください。
生命保険はみなし相続財産として相続税の課税対象になります。ですが、民法上の相続財産ではないため、遺産分割協議の対象にはなりません。そのため、生命保険金は財産を渡したい人に確実に財産を残すことができる手段となります。
財産を渡したい人の中に「遺産をください」と言い出しにくいことが考えられる方がいる場合は、生命保険に入りその方を受取人として指定することで、その方は遺産分割協議を経ることなく、死亡保険金を受け取ることができます。
■注意点■
生命保険は遺産分割協議の対象外であり、相続発生後は受取人を変更することは出来ないため、受取人は生前に慎重に指定しておく必要があります。
受取人は相続が発生する前ならいつでも変更できるため、契約時は受取人を適当に指定して契約し、その後受取人の変更を失念しているケースも見受けられます。相続させたい受取人が変わった場合には速やかに受取人変更の手続きを行う必要があります。
相続税は現金で納付しなければなりません。そのため相続財産のうち金融資産の占める割合が少ないと相続税が納税できないという問題が生じます。
現金や預金を積み立てるのには時間がかかるため、納税資金を積み立てる前に相続が発生すると納税資金が不足してしまいます。
一方、生命保険の場合は生命保険に加入した時に納税資金を確保することが出来るため、いつ相続が発生しても死亡保険金を納税資金に充てることが出来ます。
生命保険は、相続が発生し保険請求すると遺産分割協議を経ることなく早期に着金されるため、確実に納税資金に充当できるというメリットもあります。
また、相続財産が預金2,000万円、自宅7,000万円で相続人が長男、次男、三男のケースでは一人当たりの法定相続分が3,000万円となるため、長男が自宅を相続した場合、次男、三男は遺留分として最低1,500万円相続する権利を有しているため、このようなケースにおいて、長男を受取人とする死亡保険金に入っておけば長男の資金不足を解消することができます。